2011年1月6日(NO.10)
  前回の弁護団通信から,この間における活動状況について,御報告を致します。
●永井らの逮捕


 本年1月4日,潟Aーバンエステートの会長であった永井昭四郎,大山伸吾,谷本聡子,三井晴子の4人が,倒産状態にあることを認識しながらも,施主(顧客)に住宅建築代金を支払わせた詐欺容疑で逮捕されたとの報道があります。

 ようやくの逮捕により,当弁護団としても,感慨深いものがあるところです。

 そこで,当弁護団としましても,アーバンエステートが倒産した平成21年4月以降(当弁護団は同年6月結成),被害に遭われた施主の方々の救済を図るべく,これまで活動をしてきましたことから,今回の逮捕を受けまして,下記のごとく,マスコミ関係者に声明を出しております。


<声明文>

 アーバンエステート被害対策弁護団の活動の1つとして,永井をはじめとする経営責任者に刑事責任を負わせるべく,捜査関係者への働きかけもしてきました。

 そして,今回の逮捕は,一生に一度あるかないかの高額な買い物である住宅建築において被害に遭われた方々の思いの一部が実現されたかと思います。

 しかしながら,刑事責任が追及されたとしても,被害者の方々の被害自体が回復されたわけではありません。

 そのため,民事責任を負わせるべく,平成21年7月,さいたま地方裁判所に,弁護団参加被害者の一部を代表し,総額約2億2000万円の損害賠償請求として提訴もしています(事件番号:平成21年(ワ)第2312号)。

 仮に,潟Aーバンエステートが倒産したとしても,建築の出来高に応じた段階的支払いをさせていれば,このような総額約35億といった膨大な被害を生じさせることもなかったはずです。

 そこで,今回の逮捕による今後の捜査で,潟Aーバンエステートの割引などのメリットのみを強調し,あたかもリスクがないかのような説明により,早期に施主に建築代金を支払わせるといった出来高に応じない早期入金勧誘が,いかに不当・不法なものであったか,その実態の解明もされ,損害賠償という被害者の真の被害回復につながることを期待しています。

                                                  以 上

●役員従業員らに対する裁判 ≪第6回目の期日報告≫


 役員及び従業員らに対する損害賠償請求裁判の第6回口頭弁論期日が,平成22年12月8日午前11時,さいたま地方裁判所において開かれました。

 この期日では,取締役らの法的責任に関する理論的な主張に加え,破産管財人から新たに得た資料として,会計帳簿等を分析していることを報告しています。

 現在,弁護団では,その他,資料等の分析をしているところです。

 なお,上記永井らの逮捕により,アーバンエステートの経営実態が明らかになることを期待しているものではあります。
 
 今後の捜査の流れや刑事裁判での動向なども,この裁判に影響してくるものと思われます。
 
 
 次回期日は,平成23年2月9日午前11時からとなっています。
 
●シールドエージェンシーに対する裁判 ≪第8回目の期日報告≫


 シールドエージェンシー及び代表取締役に対する損害賠償請求裁判の第8回目の期日となる弁論準備期日が,平成22年11月8日午後3時,さいたま地方裁判所において開かれました。

 被告であるシールドエージェンシー側は,今度は,本当に支払をしているのか,それが請負代金に関するものなのか,工事の施工状況に間違いがないのかなど,こちら側の主張に対して,現在の資料のみでは分からない点があると,その真偽を疑っているところがあります。

 そこで,現在,相手方の主張を精査していますので,場合によっては,原告となっている方々には,新たな資料提供や事情の聴き取りにご協力をお願いすることとなるかと思いますので,その際には,よろしくお願い致します。


 次回期日は,平成23年2月1日午後3時からとなっています。
●永井昭四郎の第5回債権者集会


 破産開始決定がなされている永井昭四郎について,平成22年12月1日午後3時より,東京地方裁判所にて,第5回債権者集会(財産状況報告集会)がありました。

 そこで,当弁護団からも団長をはじめ弁護団所属の弁護士が参加をしてきましたので,その内容について,以下のとおり,ご報告します。


<日時>
 平成22年12月1日午後3時〜午後3時15分ころ

<参加者>
 担当裁判官1名,破産管財人1名(廣渡鉄弁護士),破産者側として永井昭四郎本人と代理人1名,債権者5名程度


<内容>
 従前同様,破産管財人の廣渡鉄弁護士より,説明がありました。
 
 相変わらず,不明金2000万円+7〜800万円についてや,アーバンエステートからの資金流出等の不明点があることから,手続としては,継続調査となりました。
 
 しかしながら,今回の報告では,新しい事実は判明せず,今後も,難しいかもしれません。
 
 破産管財人には,警察のような捜査権があるものではないことから一定の限界もあります。今後,上記捜査において,判明することを期待しています。
 
 なお,今回の逮捕により,次回以降の債権者集会が,どのように実施されるかは,未定です。


<次回>
平成23年3月16日午後3時30分から

 本件は,被害者の方も非常に多く,個別のお問い合わせに必ずしも十分な対応ができていな点があるかもしれません。仮に,そのような点がございましたら,お詫び致します。

 当弁護団としましても,被害者の皆さん方全員のにとって,少しでも被害回復につながるように,今後とも活動をしていきたく思っておりますので,ご協力のほど,よろしくお願い致します。

 以上,ご報告まで。


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