2013年6月21日(NO.20)
前回の弁護団通信から,この間における活動状況について,御報告を致します。
永井昭四郎,及び,三井晴子の詐欺事件による刑事裁判の公判については,5月9日の検察側の論告・求刑(永井につき求刑5年,三井につき求刑4年),弁護人側の弁論(無罪主張)を経て,6月10日,さいたま地方裁判所において,判決が言い渡されました。
平成23年1月4日,永井らが逮捕されてから,2年半近い時が経過しました。平成21年にアーバンエステートが破綻してからは,4年以上が経過していることになります。
永井は,懲役4年(未決勾留日数640日参入),三井は,懲役2年8月(未決勾留日数550日参入)にて,共に,実刑判決です。
刑事事件で問題となっている平成21年3月当時,アーバンエステートが倒産することがほぼ確実であり,履行できる可能性がほとんどないにもかかわらず,顧客らとの間で,契約締結,契約金,中間金等の金員を受領したことにつき,詐欺罪を認めました。
認定においては,当時,下請け業者への未払が増えており,そのため,資金繰り会議として,様々な入金と出金の調整をしていたが,出金に必要な17億を用意できる見込みがなかったことなどを挙げつつ,無罪主張に関しても,大山らのみの責任だとしていることなどから,反省の態度が見られないともしていました。
多くの被害者の方を出したことを考えれば,当然の結果だとは思いますが,裁判所が,あらためて,きちんと有罪認定してくれたことは,弁護団としても,うれしい結論ではあります。
今後,永井らは,この判決を不服として控訴をする可能性があり,まだまだ裁判が続く可能性もありますが,民事の事件においても,この刑事の判決内容を活かしつつ,進めていきたいと思っています。
役員及び従業員らに対する損害賠償請求裁判は,平成25年4月17日午後1時30分からの第21回目となる期日において,大山らの尋問を行いました。
大山は,資金繰り会議を行ってきたこと,下請け業者からの督促や未払のために工事がストップするようなことがあったこと,アーバンエステートの経営が危なくなってきたと思っていたことなどを認め,道義的な責任は感じているようなことを言いつつも,法的責任になるとはぐらかすところがあります。
刑事事件では,永井と三井が対象となり,大山は,刑事責任は問われていない立場になりますが,アーバンエステートの代表取締役社長の立場にあった以上,その責任は,重いものと考えています。
次回期日には,谷本の尋問を予定しており,その後,刑事事件の動向と調整しつつ,永井,及び,三井に関して,尋問をすることになります。永井らの尋問が終わると,この事件も終結となる見込みであり,裁判所が,判決を下すことになりますが,まだまだ,時間を要することかと思います。
次回期日は,平成25年7月3日午後1時30分からとなっています。
前回の通信でご報告しておりますとおり,大山は,破産手続において,免責(借金等の責任が免除されること)について,不許可の決定が出されたことについて,東京高等裁判所に対して,抗告(不服申立)を行っていました。
その結果,東京高等裁判所は,大山の不服申立を却下し,免責を不許可とする判断を維持しました。
もっとも,破産手続自体は,破産管財人の調査を経ても,配当もなく,終了しており,免責が認められなかったことから,直ちに,大山から何らかの回収ができるというものではありませんが,安易な免責が認められなかったことは,弁護団としても,望ましいことだと思っています。
本件は,被害者の方も非常に多く,個別のお問い合わせに必ずしも十分な対応ができていな点があるかもしれません。仮に,そのような点がございましたら,お詫び致します。
当弁護団としましても,被害者の皆さん方全員のにとって,少しでも被害回復につながるように,今後とも活動をしていきたく思っておりますので,ご協力のほど,よろしくお願い致します。
以上,ご報告まで。
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