2012年11月5日(NO.18)
  前回の弁護団通信から,この間における活動状況について,御報告を致します。
アーバンエステートの破産手続の処理


 アーバンエステートの破産手続については,前回の集会(平成24年9月18日)をもって,終了(廃止)となることになりました。

 残務処理として,約8490万円が,財団債権とされる税金,労働債権,そして,被害者の方々(合計約4億円)への分配(約2%)になりました。

 もっとも,被害者のうち,アーバンエステートではないパーソクリエーションと契約をしていた方は,アーバンエステートからの分配対象外となってしまいました。
 また,ある程度,建築が完了していた方,他の保証制度などから相当額の補填をされている方についても,破産管財人としては損害が認められないとのことから,対象外とされています。

 この点,弁護団依頼の被害者のうち,分配対象となりました方には,ご連絡をしております。各指定口座には,順次,入金手続を行っておりますので,ご確認下さい。

 同時に,寄付のお願いもしたところ,多くの方々からのご寄付をいただき,この場をお借りしまして,厚く御礼申し上げます。

 これらの寄付につきましては,分配対象となりませんでしたパーソクリエーションと契約をしていたものの,工事が未着工等であった方などに対する分配,並びに,永井の刑事手続資料の取り寄せ費用,役員らへの責任追及訴訟での費用等に使わせていただく予定です。
大山伸吾の第9回債権者集会


 平成24年10月24日午前11時より,東京地方裁判所にて,大山伸吾について第9回債権者集会(財産状況報告集会)が開かれました。

 前回にご報告しましたとおり,大山についても,アーバンエステートの破産手続同様に終了予定だったのですが,直前になって,大山が,これまで破産管財人に報告していた現在の生活状況(給与明細等)に虚偽の説明をしていたこと,破産開始決定段階で有していた財産を隠している可能性があることなどが判明し,大山に対して,さらなる報告を求めるために続行となっていました。

 この点,破産管財人からの報告によりますと,相当程度のお金が,大山の妻に流れ,現在は,妻の預金の残高についてもゼロとなっているなど,明らかに不自然とのことから,免責(借金や金銭の支払義務を免除すること)について不相当との意見が述べられています。

 なお,大山の破産手続の中で,分配できるだけの財産が見いだせなかったことから,分配等はなしにて終了することになります。
 弁護団からも,裁判所に対して,免責をすべきではないとの意見書を提出しています。
 
 免責の可否については,11月中旬ころには決定が出されるかと思います。
 
永井昭四郎らの刑事裁判


 永井昭四郎,及び,三井晴子の詐欺事件による刑事裁判の公判が,さいたま地方裁判所において,第3回公判期日として,平成24年10月17日午前10時に開かれました。

 前回,大山に対して,検察官側が尋問をしましたが,今回は,弁護人側からの尋問となりました。

 大山の証言内容は,概ね,前回の検察官側からの尋問と同内容であり,平成20年11月ころより,大山としては,資金繰りが苦しいと感じ始めていたことや,平成21年の2月ころには,下請けからは,毎日,頻繁に電話などで督促を受けていたことなど,経営としての破綻を認識していたというものです。しかしながら,他方で,永井らに対しては,顧客を騙すつもりはなかったと思うというのように,かばっている側面もありました。もっとも,永井が,倒産することを分かっていて,自分だけ逃げようとしていたということも証言するなど,複雑なところです。

 また,永井の弁護人は,永井が,アーバンエステートのトップと位置づけられていることに対して,下請けが600社程度あり,永井が全部把握できるわけではないことなどから,永井にも知らないことがあり,永井の指示だけで動いていたわけではないということ,また,永井は,最後まで経営努力を継続していたということを印象づけたい意図があるように感じました。

 次回は,平成24年11月5日午前10時からとなっています。なお,裁判は,基本的には,途中,午前12時ころより1時間程度の休廷がありますが,午前10時から夕方まで行われています。
 
役員,従業員らに対する裁判


 役員及び従業員らに対する損害賠償請求裁判の平成24年6月25日午前11時からの第15回目となる期日を経て,同年9月26日午後1時30分より第16回目の期日において,被害者となる原告の代表者7名の方にご協力をいただき,裁判所にて証言をしていただきました。

 それぞれ20分程度でしたが,早期入金やシールドエージェンシーの保証制度について,如何に元従業員の説明が不適切であったか,勧誘のいい加減さ,そして,被害の深刻さなどを述べていただきました。

 裁判所において証言をされることは,決して楽しいことではありませんし,おそらく緊張もされたことかと思いますが,裁判所に被害者の実情を理解して頂けたと思います。証言を頂きました原告7名の方には,ご尽力いただき,ありがとうございました。

 そして,次回には,元従業員の一部の方々が,証言することになっています。
 今後,元従業員,経理担当などの関係者,元役員ら,最後は永井らなど,来年春ころまでは,尋問が続いていくことになっています。

 次回期日は,平成24年11月7日午後2時00分からとなっています。
 
シールドエージェンシーに対する裁判


 シールドエージェンシー及び代表取締役に対する損害賠償請求裁判の第21回目となる平成24年6月15日午前10時30分からの期日において,シールドエージェンシーの代表取締役の尋問が行われました。

 その内容は,アーバンエステートなどの保証対象会社が倒産したときに保証を履行できるだけの財源を確保していないなど,如何に,シールドエージェンシーの保証制度がいい加減なものであり,きちんと精査されたものではなかったかが明らかになったものでした。

 他方で,あくまで,この保証は,金銭を保証したものではなく,建築業者を紹介し,その建築業者で建築工事の続行をしてもらうことが前提の制度だということは主張していました。
 
この点,同年8月24日午前10時から第22回目の期日が開かれ,弁護団からは,金銭保証を約束したものであること,仮に,履行されないのであれば,代表取締役にも経営者としての責任があることなど,これまでの主張を双方が整理した書面を提出し,審理としては終結しました。

 現在,裁判所の判決待ちの状態となっています。判決期日は,平成24年11月30日午後1時からとなっています。判決の内容については,あらためてご報告致します。

 本件は,被害者の方も非常に多く,個別のお問い合わせに必ずしも十分な対応ができていな点があるかもしれません。仮に,そのような点がございましたら,お詫び致します。

 当弁護団としましても,被害者の皆さん方全員のにとって,少しでも被害回復につながるように,今後とも活動をしていきたく思っておりますので,ご協力のほど,よろしくお願い致します。

 以上,ご報告まで。


<<弁護団通信NO.17へ  弁護団通信NO.19へ>>

TOPに戻る