2009年8月7日(NO.1)
  当弁護団も6月2日に結成され,同月7日に176世帯が御参加いただきました被害者説明会を経て,約2か月ほどが経過致しました。

 この間,数多くのお問い合わせを頂き,160世帯を超える被害者の方々との面談・聴き取りを行い,現在,120世帯からの御依頼を受けております。ようやく新規のお問い合わせも減少し,概ね,受任に関する作業も一段落してきたところです。

 また,受任に関する作業とともに,25名の弁護士において,活動を行ってきましたので,この間における活動状況について,御報告を致します。
●損害賠償請求訴訟の提訴


 まず,既にニュース等にてご存じかと思いますが,7月31日付けにて,さいたま地方裁判所に,被害者24名を原告として選抜し,旧取締役・会長・元従業員の合計50名を被告として,損害賠償請求を提訴しました。請求金額は,約2億2200万円です。

 上記24名の原告はあくまでも,弁護団に依頼をされた方全員の代表であり,元取締役らから回収が出来た場合には,今回,原告に選抜された被害者のみならず,当弁護団に御依頼されている被害者全員を対象に弁護団が公平だと考える方法にて配分をする予定です。

 なお,原告を一部の依頼者に限定した理由は,あまりに原告の数を増やし過ぎると裁判の進行遅延を招いたり,請求金額が著しく高額となり,裁判所に納めなければならない印紙代も極めて高額化することを考慮したものです(24名分でも印紙代は68万7000円となり,切手代も10万円を超えることが予想されます。仮に,120人分で提訴すると,印紙代だけで数百万円となり,皆さんから追加で実費負担をお願いせざるを得なくなりかねません)。

 我々弁護団としましては,依頼者全員が,アーバンエステートの経営による被害者だという認識でおり,実際に各依頼者の方から頂いている着手金3万1500円の中から,今回の訴訟の実費を支出していますので,今回の原告24名はあくまでも全被害者の代表と位置づけております。
 そのため,受任時に御説明したような追加の費用は,現時点ではお支払い頂く必要はないと考えております。

 ところで,24名の原告の選抜基準は,今後の裁判における立証を考え,平成20年12月初旬以降に入金をされている方のうち,資料の有無,聞き取りの進捗状況,損害金額などを考慮させて頂きました。
 なお,原告となっている依頼者の方には,訴訟提起前に御連絡をさせていただいております。
 もっとも,今後の裁判の進行自体もですが,そもそも,元取締役らから,実際に回収できるかという点は,現状でも未確定です。

 今後,裁判は,通常ですと1か月から2か月に1回のペースで期日が開かれ,審理がされていきます。
 しかし,本件の裁判は,報道もされたように注目を浴びていることや当事者の人数が多いことなどもあり,通常より進行が遅くなることが予想されます。少しでも早期に被害回復ができるようにと考えていきますが,また裁判の進行に変化がありましたら,御報告をしていきたいと思います。
●金融機関への要請


 次に,金融機関との折衝についてですが,この点についても,訴訟提起と同じ日に,アーバンエステートの本社があった川口市にあることから,みずほ銀行西川口支店に訪問し,融資担当者らとの面談を行い,アーバンエステートの被害者らに対する追加融資等への取り組みの申し入れを行いました。

 担当者らは,個別に申し入れをして頂ければ,ご事情をお聞きした上で,誠実に対応をしていきたいとのことでした。また,現時点でも,そのように対応をしており,把握している半分以上の被害者の方とは,概ね,ご納得を頂く形で,追加融資等も実行できているということではありました。
 仮に,みずほ銀行関連で,その対応に問題がある場合には,御連絡を下さい。

 その他の金融機関についても,既に,一部支払の猶予,利息面での条件変更の取り組みもなどの対応をして頂いている金融機関もありますが,みずほ銀行と同様の申し入れを順次,行う予定です。

 また,被害者の方々と共に,国交省をはじめとする関係機関への申し入れも行っております。その際,金融庁より,7月3日付で関係団体に対し,融資済みのローンの返済条件や新規乃至追加ローンを組む場合には,実体に応じたきめ細やかな対応をするように,文書で要請がなされているとも聞いております。
 金融庁としても,今後も必要に応じてフォローアップをする用意があり,銀行の対応に問題点があれば,当弁護団を通じてでも,金融庁に報告して欲しいとのことでした。

 そこで,現時点で銀行折衝が出来ていない方は,ひとまず,希望するローン条件の申し入れを各銀行にして頂き,芳しくない対応があれば,個別聞き取りの担当弁護士に連絡をして下さい(連絡が困難な場合は,弁護団事務局事務所:埼玉中央法律事務所にご連絡を頂いても結構です)。
 いずれにしても,交渉をされる際には,金融庁,みずほ銀行などを例に協議をされてみて下さい。もっとも,あくまで協議・交渉とはなりますので,その点は,ご注意下さい。
●シールドエージェンシーへの責任追及


 シールドエージェンシーとの関係ですが,この点,前記依頼者120名のうち,52名が御依頼されております。シールドエージェンシーに対しては,7月23日付けにて,内容証明郵便を発送し,同社に到達していることが確認できていますが,未だ,正式な回答がありません。

 今後も,引き続き,「完成保証」を謳っていたことへの責任,それを期待したからこそ,契約・支払を行った被害者の皆さんへの責任を追及していきたいと思っています。
●刑事告訴


 刑事告訴の関係ですが,この点についても,警察との間で,詐欺の要件を吟味し,事実関係・証拠関係を整理し,正式な告訴状の受理,捜査の実施につき,折衝をしています。
 
 この点,被害者の皆さん方にとっても,金銭的な回収のみならず,アーバンエステート関係者が,何らの責任も追及されない状態への憤りがあり,極めて関心があるところと考えておりますし,マスコミも注目しているところではありますが,捜査上の影響や今後の不確定要素等もありますので,申し訳ございませんが,今回は,詳細な報告を差し控えさせて頂きます。
 今後,正式な告訴状の受理となりましたら,御報告をしていきたいと思います。
●その他,マスコミ対応など 


 その他,これら手続を進める上において,情報収集等を行っており,その1つとして,破産管財人とも複数回の面談を行い,一部の資料開示などを既に受けています。

 また,前記のごとく,報道関係者も非常に注目されていることから,その対応にも非常に追われているところです。この点,面談時にもお願い等をしておりますが,報道関係者は,被害者の皆さんから直接,お話をお聞きしたいという要望が強くあります。
 本件が報道されることは,アーバンエステート関係者への責任追及への働きかけにもなるとともに,金融機関との折衝においても,悪い話ではないと考えております。

 この点,当弁護団より,個別に,マスコミへの取材協力のお願いをさせて頂く事があるかもしれませんが,仮に,協力をしても構わないという方がおられましたら,御連絡を頂けますと助かります。
 
 本件は,被害者の方も非常に多く,個別のお問い合わせに必ずしも十分な対応ができていな点があるかもしれません。仮に,そのような点がございましたら,お詫び致します。

 当弁護団としましても,被害者の皆さん方全員のにとって,少しでも被害回復につながるように,今後とも活動をしていきたく思っておりますので,ご協力のほど,よろしくお願い致します。

 以上,ご報告まで。


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