2009年10月9日(NO.3)
  前回の弁護団通信から,この間における活動状況について,御報告を致します。
●アーバンエステートの第1回債権者集会


 破産開始決定がなされているアーバンエステートについて,平成21年10月7日午後1時30分より,東京地方裁判所にて,第1回債権者集会(財産状況報告集会)がありました。
 そこで,当弁護団からも団長をはじめ弁護団所属の弁護士が参加をしてきましたので,その内容について,以下のとおり,ご報告します。



【日 時】
 平成21年10月7日午後1時30分〜午後2時15分ころ
 
【参加者】
 担当裁判官1名
 破産管財人1名(高木茂弁護士)及び補助となる代理人2名
 破産者側として大山社長と代理人2名
 債権者100名以上



【内 容】
 まず担当裁判官から数分の挨拶があり,その後,破産管財人の高木茂弁護士より,説明がありました。
 説明の内容は,配布されました資料(PDF)に基づくものでしたが,主なものとしては,以下のとおりです。
 
 (※配布資料をご覧いただくためには、Adobe Reader(無料)が必要です。)


 破産に至る経緯として,高額な宣伝費等の支出に対して,施主からは,出来高に見合わないお金を入金させるなどをすることによって,自転車操業となり,民事再生の申立がなされた時点で,高額な公租公課(税金)の滞納があるなど,再建の可能性は低いと思われていたこと

 これまでに破産管財人として行ってきた業務の内容
@ 永井昭四郎の破産申立
A 役員らへの責任追及(但し,大山社長も,まもなく破産予定)
B 永井の親族3人について,労働の実態がないにもかかわらず支払われてきた金員の返還請求
C 資金が流れていた関連会社への請求
  約800万円が流れていた
  関連会社で,経営が危ないことも知っていたはず
D 税務署との還付金の折衝
E その他,施主,取引先対応,事務所の明け渡しなど

 これまでに回収した資産が約1億5000万円であるのに対して,これまでに要した経費が約7600万円であり,差額は約7400万円であること
 今後,大幅に増えるということはないかもしれないということ



【質 疑】
 会場の債権者からの質問とそれに対する破産管財人の回答は,概ね,以下のとおりです。


・ 永井が,スイス銀行にお金を隠しているのではないか?

→ 永井の管財人が調査するよう,伝えておきます。
 ただ,もう少し具体的な情報でないと調査ができない可能性もあります。


・ 施主から集めたお金は数億円以上で,その使途についても調査されているのか?

→ 平成21年1月ころから下請けへの支払も滞り始め,従業員への給料も一部,滞りが生じていることから,そちらへの支払に充て られたとは思われるが,数億円規模での資金流出の事実は,確認できなかった。
  2月ころに,永井の口座に2000万円の入金があるという情報はある。

       
・ 永井が銀行印などを管理していたはずだが,その点は,どうなっているか?

→ 永井が,ほとんどの金銭の出入りを管理していた。
  ただ,引き出しの使途については,ある程度,調査はできている。


・ 今後の具体的見通しは,どうなるか?

→ 税務署との還付金の折衝は,早ければ年内にも目途は立つと思うが,裁判等については,安易な解決でいいのであれば,早く も終わらせられるが,三井らの態度は,反省している様子もないことから,債権者の皆さんが納得してもらえるような解決を目指す には,時間もかかり,現時点での目途は不明としか言いようがない。
  財団債権への分配の可能性についても,あるとも言えないし,あっても満足してもらえるようなものではないと思う。


・ 永井への貸付金と仮払金は,いつごろのものなのか?

→ 貸付金は,約3〜4年程度前からのもの
  仮払金は,ここから他にお金が流れていった可能性がある


・ 経費の中で,撤去費用が高額である理由は何か?
→ 全部で,80〜90か所の事務所の明け渡しをしたので,1か所が100万円でも,8000〜9000万円となってしまうものであって ,これでも安く済むように努力をした。



【次 回】
 平成22年2月15日午後1時30分から



 今回の集会は,混乱もなく,意外と平穏な雰囲気において,進行し,約45分ほどで終了をしました。
 しかし,今回の報告を前提としますと,仮に,集められた資産の中から,分配に4000万円が充てられたとしても,現時点では,分配の対象となる財団債権として取り扱われる総額は,約40億円との記載がありますので,1%に過ぎないことになります。

 ましてや,最終的に分配に充てられる金銭があるかどうかも,現時点では分かりません。

 次回までに,どの程度の進展があるか分かりませんが,破産管財人には,可能な限りの業務を遂行していただき,破産手続において,僅かであっても,より多くの被害回復が期待できるように,申し入れ等も行っていきたく思っています。



 (※ 備考)
 破産管財人から配布された資料に,下記のとおり,誤りがあるの説明がありました。
 14頁目のタイトル
 誤…「財産目録・賃貸対照表及び収支計算書」
 正…「財産目録・貸借対照表及び収支計算書」

 24頁目の資産及び収入の部の番号2の欄
 誤…「城南信用金庫」
 正…「城北信用金庫」
●金融機関への要請(続報)


 前回の弁護団通信にて,アーバンエステートの被害者らに対する追加融資等への取り組みについて,銀行業協会,及び,主たる金融機関に対しての申し入れを行ったことを御報告しましたが,その後,横浜銀行本店から連絡があり,被害状況から,追加融資等も含めて,柔軟に対応していきたいとの御連絡がありました。
 
 本件は,被害者の方も非常に多く,個別のお問い合わせに必ずしも十分な対応ができていな点があるかもしれません。仮に,そのような点がございましたら,お詫び致します。

 当弁護団としましても,被害者の皆さん方全員のにとって,少しでも被害回復につながるように,今後とも活動をしていきたく思っておりますので,ご協力のほど,よろしくお願い致します。

 以上,ご報告まで。


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